~介護AI 揺れる出力、曖昧な指示、でも使える。その“前提”を忘れないために~
「また今日も、AIが思ったように返してくれなかった…」

同じように入力したのに、昨日と今日で答えが違う。
「介護保険について説明して」と頼んだら、
昨日は「保険料は40歳から支払う」と教えてくれたのに、
今日は「介護認定の流れ」を解説し始める。
どちらも“間違い”ではない。
でも、“欲しかった情報”ではなかった──。
AIを使い始めたばかりの頃、こうしたことがよくあります。
これはAIが“気まぐれ”なのではなく、
私たちの指示が、まだ少しあいまいだったということ。
「誰に向けて?」
「どこを強調したい?」
「どの部分まで説明したい?」
これらをはっきり伝えていないと、AIは「たぶんこうかな?」と想像して返してきます。
つまり、**“人の意図に寄り添いすぎる道具”**でもあるのです。
また、意外かもしれませんが、AIは簡単な数の処理が苦手です。
「この中に〇がいくつある?」
「表の中で3以上の数だけ抜き出して」
こんな指示も、うまく返ってくるときもあれば、間違うときもあります。
表を読み飛ばしたり、数を間違えたり、意外と“基本的なこと”でミスをする。
それを見て、
「やっぱりAIは使えないじゃないか」
と思ってしまう気持ちも、よくわかります。
でも──
私たちは、どんな仕事も“道具を知ってから使ってきた”はずです。
たとえば電卓。
最初はボタンを間違える。
関数キーを使いこなすには時間がかかる。
でも、仕組みを知れば強い味方になる。
ワープロも、パソコンも、スマートフォンも。
どれも最初は「難しい」「使いづらい」
でも今では、当たり前のように使っています。
AIも、今まさにその“入り口”に立っているだけなのです。
大切なのは、「AIは万能ではない」と理解すること。
そして、最終的なチェックと仕上げは、必ず人間がやること。
これは、今のAIを安全に、正しく活用するための基本です。
- 誤った情報が混じっていないか?
- 表現が失礼ではないか?
- 施設や現場の“らしさ”がにじんでいるか?
それを見極めるのは、やはり現場の経験や感覚を持った私たち自身です。
「AIを疑わずに、まず使ってみてください。」
これは、最近AIを導入した介護施設の主任さんが言っていた言葉です。
最初は違和感があったそうです。
「なんか冷たいな」「言葉が固いな」「ちょっとズレてるな」
でも、使っているうちに気づいたそうです。
「あれ? この使い方なら、あの報告書に使えるかも」
「この説明、家族対応のときに助かるな」
「忙しい日のサポート役としては、十分頼れる」
そう、その“ひらめき”こそが、
あなたの仕事と働き方を変える、はじめの一歩になるのです。
AIは、完璧な答えをくれるわけではありません。
でも、「何かを一緒に考えてくれる」存在です。
ちょっとした表現の見直し、下書きの代行、構成の整理──
**“9割のところまで連れてきてくれる存在”**とも言えます。
そして残りの1割を整えるのが、
私たち現場で働く人間の役割です。
【結び】
AIは、電卓ではありません。
同じ入力で、毎回同じ結果が返ってくるわけではありません。
でも、それは“使えない”ということではないのです。
人が整え、判断し、仕上げる。
その前提を持ったとき、AIは確かな味方になります。
少しずつでもいい。
完璧でなくていい。
“道具として、ちょっと使ってみる”──そこから、きっと何かが変わります。